SATRI-IC アプリケーション設計ガイド
3. バイアス回路

バイアス回路はSATRI-ICでは電流の設定だけです。Aクラス動作をさせると動作電流の変化はほとんどありませんから、精密な動作をさせることができます。

 

バイアス電流の値は、1Vの信号電流を1KΩの入力抵抗で1mAの電流に変換した場合、ピーク電流は1.4mAとなりますので、1.5mA~2mAくらいが適当です。

 

また、入力インピーダンスはバイアス電流が大きくなれば減少しますので、特に入力インピーダンスを下げたいときは大きくしてください。ただし、SATRI-ICの最大定格を超えないことと、バイアス電流の値が大きくなると発生するノイズも大きくなりますので、注意する必要があります。

 

最も簡単な方法は、図9のように抵抗RをPIN2とPIN11の間に入れる方法です。

この場合の抵抗Rの値は、

 

 R=(+Vcc+|-Vcc|-2.4)/バイアス電流

 

となります。

例えば、電源電圧を±15Vで使ったときは、バイアス電流を2mAとすると、

 

 R=(15+15-2.4)/2=13.8(KΩ)

 

となりますが、バイアス電流は電源電圧の変動をそのまま受けることになりますので、電源のノイズ混入や混変調歪の原因になります。ですから、抵抗でバイアス電流を設定するときは、インピーダンスの低いOS-CONでのバイパスや、定電圧電源の使用が不可欠となります。

 

これを避けるには、バイアス設定を定電流素子にします。最も簡単なのは図10のように定電流ダイオードCRDを使用することです。

CRDは電源電圧の変動での電流値の変化は僅かですが、精密な増幅をするときには定電圧電源との併用を薦めます。また、CRDは電流値を調整することはできませんし、ばらつきもありますので、精密に電流値を調整したい場合は図11のようにFETとボリュームの組み合わせが最適です。

ただし、この場合はCRDより定電流になる電圧は大きくなるので、低い電圧で使用するときは注意が必要です。