製作例 プリアンプ

製作例1 高木様のA級パワーアンプ

こんにちは、高木です。
やっと、メインアンプが完成しました。
これがA級アンプの特徴なのでしょうか、調整にしても音だしにしても、非常に安定感を
感じております。
立ち上がりは、12〜14秒位でOK,気になっていた温度は2時間くらい慣らしっぱ
なしの状態で、放熱器に手をやっと置いておける程度です。(室温27℃)
但し、パワー段の電圧が28.6Vありますので、アイドル電流は1.2Aに設定しました。
音は1時間の慣らしですが、最初から空間の大きさ、距離感、五月蝿くなくて、
且つ音通りが良いといった感じのものです。
VRを仮で付けてあったり、置き方を工夫していないせいもあり、出てもいいはずの
細かいところが聞こえてこないので、1週間程度の慣らしと調整は必要とおもいますが先が
楽しみです。
永井さん、すばらしい基板をありがとうございました。
追伸:別メールで写真を送らさせてもらいます。

パワーアンプの写真です。
DSC_0022:10Hz矩形波 VR 9時の時
DSC_0014:  〃    VR 最大
の時のもので、高域の矩形波もきれいに通っていました。

パワーアンプ仕様
 キット基盤使用
 Ver5.1 IC使用
 Ver6.2 回路
 回路は基本的に設計例の回路を使用
製作
 ・ケース 430*430*200h
 ・トランス POWER段 21V-0-21V 9A?
 ・     drive段 タンゴ CT-50
 ・     OPアンプ段 20-0-20V 0.2A
 ・レイアウト 電源部を中央に置いて、二階建て構造
        下部に3900μコンを30ヶ配置してあります.
 ・基盤は放熱器に取り付けましたが、完成後のメンテ、調整を考え
  電源線等をファストン端子で中継してあります.
 ・尚、調整時には別に300*200のアルミ板に基盤を取り付けブロワーによる
  強制空冷で作業しましたが、大変便利な方法でした.
 ・ドライバー段のFETはバラ売りのまま使用しましたが、何とかなっています.
完成後
 ・数時間でケース内温度がかなり上がりましたので、ケース天板に50角12Vの薄型
  ファンを2台取り付け6Vの電圧で作動させて騒音の軽減を図りましたが、
  ケースに反響してあまり良くありません。別の方法を探るつもりです。
  また、内部温度上昇の原因は半導体よりも電源トランスにあるようです.
 ・音は日に日に変化していっていますが、空間の広さ、奥行き、音像はシャープなのに
  細くならず、音にキツサが無い、暖かささえ感じます.
  これらは、最初から有った印象です.
 ・既存の自作satriアンプでは、オーケストラがイマイチだったのですが、
  これは雰囲気を出してくれ、CDの種類が増えそうです。
 ・一つ戸惑っているのは、野鳥のCD を掛けた時、前のアンプでは前方上方で囀って
  いた鳥たちが、今度のアンプでは、鳥の数が増えたうえ、自分が木の上にいるような
  感覚になったことです.今後の調整でどう変わるか興味を持っています.
 ・後でプリを作る予定で、VR/ATTを付けなかったのですが、、今のところプリの
  必要性は??になってしまいそうです。


VR9時

VR最大

設計者より:10Hzの方形波も素直なので、バイアスサーボ、DCサーボも問題ないようですね。A級アンプは、私も是非作ってみたいと思っています。VRの線が長くなる場合は、ケーブルの容量に注意してください、ケーブルの容量が大きいと高域低下につながります。

高木さんのアンプの電圧増幅段のドリフト特性:
 高木さんのアンプの電圧増幅段のドリフト特性を測定していただきました。

永井さん、こんにちは 高木です。
今週中、何かと忙しくデータ取りが出来ず遅くなってしまいましたが、下記のごとくです。

Rチャンネル
電源ONからの時間(分) 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50 55 60 65
ドリフト電圧(mV) 3.2 -9.7 17.3 19.1 10 28.8 34.2 38.4 21.8 38 40.9 38.3 41.9
全般的に、この数値から下へ20mV位の幅で上下を繰り返しています。
Lチャンネルも、数値は違うものの似たような傾向です。

ちなみに、この計測後、通電したまま冷風ドライヤーで基板に風を送ると、
一気に150mV近くに跳ね上がりました。

また、十分冷えた後、パワー段の電源を切ったまま計測すると、もっとなだらかな
変化でした。

高木様製作A級パワーアンプ、サーボ改造データ:高木様が製作されたA級パワーアンプに設計者が実験した-6db/octのDCサーボとバイアスサーボの追試データです。

高木です。
改造データをおくります
 R17,R30=2.2MΩ
 R18,R29=0
 R22,R23=4.64KΩ
 C23,C29=1μF
 C32,C33 無し

R8=0
 R7=560KΩ
 R6=1.14KΩ
 R9=111.1KΩ
 C5=1μF

 J6−−>内側で短絡

画像 10Hz、10KHz、100KHz
   100nF−−>7.5Ω+0.1μF
   2400nF−−>7.5Ω+2.4μF
  なお、下の波形が入力信号です。

10Hz

10KHz

100KHz

7.5Ω+0.1μ

7.5Ω+2.4μ

設計者より:殆ど私の測定結果とおなじですね。再現性が良い様で安心しました。やはり、グランドプレーンをきっちと取っただけの事はあります。非常に安定しているようです。ありがとうございました。それから、音のほうも感想を送ってくだされば嬉しいです。

高木様よりの試聴記:早速試聴記を送っていただきました。
今回の改造点は
1.出力段のサーボを6db化
2.上記の時定数を大幅up −−>電源ONの初期立上り時間が1分半ほど掛かる
3.初段に6dbサーボを追加ーー>ドリフト L:0.1mV,R:0.3mV以内安定
音については、最初物足りないほどおとなしくなった!と思ったのですが、聞くほどに
キメが細かく静かでシャープ、音樂ををくっきり浮かび上がらせている。
特徴的に何かを主張するのではなく、全体の品位がかなり上がったような印象を受けて
います。
音を表現するのは難しいですが、バカチョンカメラの写真と大型カメラの画像の違いに
似ていると思います。
改造前の状態でも、かなり満足していたのですが、全く驚きです。
しかも、音量VRはATTではなく手持ちの50KΩのVRに10kΩをパラッた物で
仮に使っていることを考慮すると、ATT変更時にどれだけグレードupするか
大変楽しみです。
永井さんに大感謝です。



製作例2 設計者の試作

私も遅まきながらA級パワーアンプの試作に取り掛かりました。
これから作ってみようと思う方の参考になるように、なるべく沢山のデータを取ってみました。
今回は、入力段のバッファーと電圧増幅回路です。
まず回路図と試作基板の写真を示します。


回路図


試作基板


バッファー回路:

まず、バッファーですがこれは元回路の通りの2SK330と2SJ105のコンプリメンタリです。ソースに入れるVRは50オームでオフセットが取れました。FETの内部インピーダンスが130オームほどありますので、1V入力で1mA流すためにR4は820オームに変更しました。電源電圧をプラスマイナス15Vとしたときにドレイン電流は3.57mA流れます。入力1V、電圧電流変換抵抗R4を820オームとしたときの歪率は0.0272%です。コンプリメンタリJ−FETは電源電圧変動に対して動作がどうなるか試してみました。

プラスマイナス電源電圧(V) 出力電圧(rmsV) 歪率(%) ドレイン電流(mA)
16 0.843 0.0272 3.57
15 0.843 0.0272 3.57
14 0.843 0.0279 3.57
13 0.843 0.0286 3.57
12 0.843 0.0299 3.57
11 0.843 0.0311 3.57
10 0.843 0.0333 3.57

これを見ると、動作点は全然動かないようです。歪が悪くなるのは直線性が悪化するためで、これは仕方が無いと思いますが、それでもその変化は少ないです。
バッファから発生するノイズは7.79マイクロボルトで、パワーアンプでは問題にならない程度です。

電圧増幅回路:
 SATRI回路を含めた電圧増幅段の電源は定電圧電源を使って26Vにします。そのときの最大出力電圧は18Vrms位ありますので、ドライブ電圧としては十分だと思います。
 この回路で問題になるのは、DCサーボを掛けるか掛けないかです。それに、SATRI−ICにV5.1を付けて効果があるかどうかも確かめておきたいですね。
まずはそれを調べてみる事にします。
測定条件は、入力820オームでシャント、RLは10Kオームです。
チャートのスピードは1cm/分、レンジはプラスマイナス50mVです。


SATRI−ICのみ

SATRI−IC+V5.1
これを見ると、確かにV5.1を付ける事によってドリフトが減少しています。しかし、全く無くなる訳ではありません、それは、V5.1はバイアス電流を安定させるだけで、ドリフト発生には他の要素もあるからです。SATRI−ICのみではDCサーボを省略する事は出来ませんが、V5.1を使えばプラマイ10mV位にはドリフトが収まりそうですので、ゲイン調節にVRを使えば、何とかなりそうです。アッテネーターを使う場合は切り替えノイズが出るので、DCサーボを掛けたほうが良いでしょう。
 ただし、V6.2を出力段に使う場合は低域の時定数が増えるので、時定数の調整を慎重にやる必要があります。下手に設定すると低域にピークが出る恐れが出てきます。
 普通は、フルボリュームにする事は無いと思いますのでV5.1を付ければ、DCサーボが無くても実用になりそうです。V6.2を使うときはカップリングコンデンサを使うので、電圧増幅段のドリフト電圧が出力に出ることはありません。
 まず、増幅率は入力に1mAの信号電流を入れたときにRL10Kオームでは17.06Vが得られます。バッファーで1Vの信号電圧を1mAに変換すると、増幅率は17.06、24.64dbです。出力35W(8オーム)の出力電圧は16.73Vですので、ちょうど良いくらいの増幅率です。1Vの信号入力でフルパワーが得られます。
 次に歪率を見てみます。SATRI−ICのみとV5.1を付けた場合の比較をしてみます。
 測定条件は、入力1mA一定、周波数は1KHz、出力電圧はVRを可変しています。

出力電圧(Vrms) SATRI−ICのみの歪率(%) V5.1つきの歪率(%)
0.1 0.066 0.068
1 0.060 0.066
5 0.054 0.059
10 0.044 0.045
17 0.070 0.094

これを見ると、VRの位置で殆ど歪が変化しません、これはノイズや歪がVRの変化にしたがって変化し、S/N比がVRの位置で変化しないからです。V5.1を付けたほうが歪率がわずかに悪くなっていますが、測定誤差の範囲だと思います。
 では、周波数を変えた場合の歪の変化を見てみます。測定回路はV5.1を付けた回路です。

周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 10K 20K 50K 100K
歪率(%) 0.068 0.067 0.067 0.067 0.067 0.067 0.068 0.088 0.130
出力電圧(Vrms) 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00

これを見ますと50KHzまでは、殆ど歪率が変わりません。さすがに100KHzは悪化していますが、無帰還で1%以下ですから、良いほうだと思います。
 ノイズはV5.1を付けても変化は無くAカーブで97マイクロボルトです。電源電流はSATRI−ICのみで40mA、V5.1を付けて50mAです。
 最後に方形波特性を示します。測定周波数は1Hzから1MHzです。ファンクションジェネレターの出力を820オームで電流に変換してSATRI回路に入力しました。画面の上が入力波形、下が出力波形です。

1Hzから100KHzまでは殆ど入力と出力は同じですが、さすがに1MHzではなまってしまいます。出力を変化した場合の波形変化などの詳しい測定は出力段が出来上がってから測定してみる事にします。
 次に入出力の遅れを測定してみます。これは100KHzの立ち上がりで測定してみました。

これを見ますと26.7nSと非常に遅れ時間が少ない事が分かります。この遅れの少なさもSATRI回路の特徴の一つです。

次はパワー段が出来上がったら、データを追加します。

DCサーボの追加:
 ドリフト特性を見るとプラスマイナス10mVくらいに収まっていますが、ATTを使う事を考えればプラスマイナス1mV以下に押さえたいところです。しかし、V6.2のDCサーボと2段になれば、よほどうまく時定数を調整しないと低域にピークが出る恐れがあります。今までのDCサーボの回路としては、CR2段の12db/octのフィルターを何の疑いも無く使ってきました。12db/octフィルター2段になると特性が重なった所は24db/octとなり、カットオフ周波数付近の位相の回転が大きくピークが出やすい特性になります。
 そこで、考えたのはDCサーボには、必ず12db/octのフィルターが必要かということです。つまり、6db/octではだめなのかと言う事です。6db/octなら位相の回転も少なくピークが出来にくいので、DCサーボを2段重ねたとしてもピークが出来にくくなるはずです。
 早速試してみる事にしました。もう基板が出来上がっているのですからシミュレーションでやるよりも実際に作ってみる方が手っ取り早いです。サーボ無しのドリフト特性を見てみると大きなドリフトは30秒から1分周期です。振幅は20mVpp位ですから、これを1mV以下にするためには1/40くらいにすれば良い訳です。6db/octでドリフトの周波数を30秒0.033Hzに対して1Hzのカットオフの周波数のフィルターを掛けると約1/32になります。
DCサーボのカットオフ周波数1Hzで試してみる事にします。コンデンサを1マイクロFとすると、抵抗は160Kになります、手持ちの関係で180Kにしましたので、カットオフ周波数は0.83Hzになります。
 回路図と特性データを下に示します。


回路図

ドリフト特性

OPアンプ出力

 DCサーボ用のOPアンプはLF411を使い、C10は付けないで、R8はジャンパーでショートです。J6のジャンパーは忘れないようにしてください。それから、回路図でR6の抵抗値を書き込むのを忘れていますが、R6は1Kです。
 ドリフト特性はレンジ変更の前は10mV/div、変更後は1mV/divです。結果は御覧の通り、目論見どおりにドリフトは目で見て分からないくらいになっています。オフセットは0.2mVに収まっていますが、これはOPアンプのオフセットだと思いますので、気になる方はユニバーサルパターンを使ってOPアンプのオフセット調整回路を付ければ良いと思います。DCサーボのOPアンプ出力は、DCサーボが無い場合のドリフト特性と逆方向に働いています。6db/octのサーボでも十分効果があるようです。そうすると、出力段のサーボも6dbで良いかもしれません。そうすると、サーボ2段でも12db/octですから、安定なサーボが掛けられそうです。
 また、電源ONのときのショックノイズも200mV位に収まっていますし、時間も短いのでこの点でもDCサーボが有効です。

DCサーボの定数の見直し:
 DCサーボをかけた状態で方形波特性や周波数特性を計ってみました。VR最大の状態での方形波特性を見てみると1KHzでもサグが少し見られます。VRを下げていくとゲインが少なくなってきますのでサグも減少していきます。VR最大のときの周波数特性は20Hz位までフラットで、それ以下は徐々にレベルが落ちていきます。VR最大で使う事は少ないと考えても、できれば、もう少し低域を延ばしたいところです。
 しかし、低域を延ばすためにDCサーボのカットオフ周波数を下げていけば、ドリフトの周波数の帯域にかかるサーボ量が減少し、ドリフトが表面に現れてきます。カットオフ周波数を下げてサーボのフィルターを12db/octにすると、その分サーボ量が増えてドリフトの抑制効果は高くなりますが、出力段のDCサーボの影響が心配になります。この辺のさじ加減をどうするかと言うのは難しいのですが、とにかく、サーボのカットオフ周波数を変化させてみる事にします。チャートのスピードは1cm/分、レンジはプラスマイナス5mVです。


2.2M+1u

620K+1u

LF411オフセット調整

オフセット調整回路

 まずは、180Kの10倍くらい2.2Mにして見ます。これだとドリフトが200マイクロVp−p位あります。ちょっと多いような気がしますし、電源投入時のノイズも大きいです。次は半分の620Kにして見ます。これだと電源投入時のノイズも3mV位で、ドリフトも100マイクロVp−p以下です。オフセットは-0.4mVありますが安定しています。ついでにOPアンプLF411のオフセット調整をして見ます。オフセット調整回路は簡単で、1と5番ピンに10KオームのVRを接続し、スライダーを-Vccに接続するだけです。基板のユニバーサルパターンを利用して配線します。オフセットの調整はVRで調整しますが、きちんと合わせる為には多回転のものを用いる必要があります。オフセット調整を行うと余裕でプラスマイナス100マイクロV以下に収まります。

 次にDCサーボを掛けた後の方形波特性を見てみましょう。1KHzと10KHzはフルボリュームでの特性です。上記定数ではサグも無く綺麗な波形です。


1KHz

10KHz

 では、100Hzではどうでしょうか。

 100Hzではフルボリュームではサグが出ていますが、ボリュームを絞ってゲインを下げていくと御覧のようにサグが無くなっていきます。これは、ゲインを下げる事によって低域の帯域が広がっていく事を示します。
高域側でも同じような事が起こります。

100KHzでもゲインを下げていくと、御覧のように波形のなまりが少なくなっていきます。これは入力信号電流が一定の場合は、ゲインにより帯域が変化する事を示します。
 SATRI回路のRLを下げてゲインを下げて行く事は、フィードバックを掛けたと同じような働きをしますが、信号をフィードバックするわけではないので、歪率は下がりません。

電圧増幅段は、一応、この定数を採用する事にして、出力段を製作してみることにします。

出力段の製作:
 今回の出力段はMOS−FETドライブでバイポーラトランジスタの出力段です。この組み合わせは試した事が無いので、うまく行くかどうかちょっと心配です。
 まず、回路図を示します。


回路図

 出力段はMOS−FETドライブのバイポーラトランジスタ出力です。SATRI回路V6.2を搭載するためには、出力段の入力インピーダンスを大きくする必要があります。また、出力段の電源電圧がプラスマイナス24Vですから、出力を大きくするためにはバイアス電圧が小さく出力インピーダンスが小さいバイポーラトランジスタがロスが少ないので有利です。また、2SA1987/2SC5359の出力段はAMP-5520で採用して出力をショートしても壊れないと言う丈夫さを見せてくれましたので、安心して使えるトランジスタです。
 V6.2のバイアスサーボとDCサーボは2.2Mと1uの時定数で1次のフィルターを構成してみました。この時定数は電圧増幅段と合わせて最終的に決めようと思います。まずは、1次フィルターのサーボ回路でちゃんと動作するかどうかを確かめてみました。
 下図に出力ドリフト緑、バイアス電流赤、バイアス電圧青を示します。スケールは各色で示してあります。

 これを見ると、電源投入2分くらいで定常状態に入るのが分かります。バイアス電流はGNDとエミッタ抵抗の電圧で計りましたので、ドリフトも含まれています。最初の1分間くらいは100mV程度の電圧が出ますので、コーンタイプは問題ないとしてもホーンのドライバを直接繋ぐ場合は2分位は遅れて出力を接続するような安全回路を入れた方が良いかもしれません。
 ドリフトは0.1mV以下、オフセットも0.1mV程度に収まっています。バイアス電圧はバイアスサーボのOPアンプ出力を見ています。これを見ると、電源オンと共にバイアス電圧は直線的に上がり、温度上昇と共にバイアス電流が増えていくのをバイアス電圧を下げる方向に制御し、バイアス電流を一定に保っています。SATRIV6.2を搭載したアンプは、今までのアンプのようにトランジスタの温度を一定に制御するのではなく、バイアス電流が一定になるように制御しますから、周りの温度が変わってもバイアス電流は変化しません、その代わり、発熱量は一定になりますから放熱器の温度は外気温が上がれば放熱器の温度も上がります。今までの温度制御のアンプでは外気温に関係なくトランジスタの温度を一定にしようと働きますから、外気温が下がればバイアス電流が増え、外気温が上がればバイアス電流は減ります。従来の方式だと、外気温や電源電圧の変動によって動作点が動きますが、V6.2を搭載したアンプではそういう外乱によって動作点が変動する事はありません。
 それでは、正弦波特性を測定してみます。最初は心配だった歪率特性を取ってみます。オシレターの出力が6Vまでなので、1Vと6Vを測定してみました。負荷は8オームです。

周波数(Hz) 1V歪率(%) 6V歪率(%)
20 0.00671 0.0037
50 0.0064 0.0033
100 0.0066 0.0031
500 0.0066 0.0030
1K 0.0066 0.0029
5K 0.0066 0.0046
10K 0.0068 0.0079
20K 0.0071 0.0157
50K 0.0217 0.049
100K 0.0293 0.086

 このように、出力段での歪は殆ど問題ないようです。
 次に周波数特性を計ってみました。

周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 5K 10K 20K 50K 100K
1V入力時の出力(V) 0.925 0.929 0.930 0.929 0.930 0.929 0.928 0.925 0.905 0.858
6V入力時の出力(V) 5.54 5.57 5.57 5.57 5.57 5.57 5.56 5.54 5.41 5.09

1KHzでは1Vに対して-0.6db、6Vに対しては-0.64dbです。1V1KHzに対して20Hzは-0.046db、20KHzは-0.0648db、50KHzで-0.24db、100KHzで-0.7dbで十分な帯域を持っています。
 次は方形波特性を測定してみます。正弦波特性は静的な特性ですが、方形波特性はステップ電圧を加えるので、動的な特性を見ることが出来ます。
 ノイズ電圧は入力ショートAカーブで17マイクロVで、問題になら無いくらいです。

 10Hzから100KHzの25Vp−pの方形波をファンクションジェネレターから加えてみます。上が入力、下が出力で、負荷抵抗は8オームです。ch2の電圧表示が1Vとなっていますが、これは検出ピンの接触不良で、実際は10Vです。10Hzでこれくらいのサグなら十分な帯域です。100Hzでは殆どサグは出ていません、電圧増幅段よりも時定数を大きくした性です。1KHzを見てみると立ち上がりに小さなピークがあります。入力にはありませんので、どうも高域にピークがあるようです。10KHzではっきりとそれが出てきて、100KHzでは明らかに寄生発振をしています。今まで、高域で問題が出たことはなったので、これはちょっと、ショックです。こういうように、アンプの不具合は測定器が無いと、なかなか見つけることが出来ません。自作派の方には、オシロスコープ、方形はと正弦波の出せる発振器は、是非、揃えていただきたいと思います。明日は、出力段の高域問題に取り組みます。

出力段の調整:
 100KHz方形波の寄生発振の原因は、負荷抵抗から交流電圧計に接続していたケーブルが原因でした。ケーブルを外すと発振は止まります。しかし、容量が100pFにも満たないケーブルで発振するのですから、容量負荷に弱い事には変わりありません。従来行われてきた対策としては負荷に並列にコンデンサと抵抗を直列にしたものを接続して高域の帯域を下げてやる方法があります。この方法を試すと、1000pFと3Wの33オームを直列にしたものを接続すると一発で止まります。容量負荷に対しても問題なくなりますが、抵抗は相当発熱します。ということは、高周波の大電流がコンデンサを流れている事の証拠です。このコンデンサはクリティカルで、指でコンデンサをつまんでも音が変わるほどです。ですから、この方法を使うのは私の好みではありませんので、他の方法を考える事にします。
 どういう原理で発振するかと言うと、方形波は基本周波数のほかに高い周波数成分を持っています。特に高速のファンクションジェネレターは立ち上がり時間が短く100KHzでも数10MHzの周波数成分を持っています。この高周波成分がトランジスタやプリントパターンの浮遊容量を通して正帰還がかかって発振すると考えられます。
 これを防ぐには、そういう高周波成分を含む信号を与えないようにすれば良い訳です。簡単には出力段に直接信号を入力しないで、電圧増幅段を通して信号を入力すれば、電圧増幅段の帯域は出力段より狭いので、それを通せば100KHzの方形波を加えても発振する事はありません。ただ、それでは、出力段のみの安定性が確保できたわけではないので、本質的な解決ではありません。
 もう一つの方法としては、出力段の帯域を狭めてしまう事が考えられます。出力段の帯域がどんなに広くても、電圧増幅段の帯域がそれに比べると狭いので、完成したアンプの帯域は電圧増幅段の帯域に支配されてしまいます。ですから、電圧増幅段よりも、ちょっと広い帯域を出力段に持たせるようにします。やり方としては、コンデンサを付加して帯域を狭める方法もありますが、その場合、コンデンサのキャラクタが音に影響する場合が多いので、コンデンサは使わないでドライバのMOS−FETのゲート抵抗を増やして帯域を狭める事にしました。最終的にはバイポーラトランジスタのベース抵抗は少しでも出力を稼ぐためにショートし、ドライバのMOS−FETのゲートに5.1Kオームを入れて安定動作をさせる事が出来ました。ですから、変更は次のようになります。
    R21,24=10オーム >ショート、R22,23=100オーム >5.1K
次は、いよいよ総合特性を計ってみます。

総合特性:
 まずは、アンプの安定性を見てみましょう。信号は初段のバッファを通して入力し、電圧増幅回路を経て出力段です。入力は1Vp−p、出力は20Vp−pになるようにゲインを調節しました。
 パワーアンプは、容量負荷に安定な事が必要です。これが不安定だと正確な再生は望めません、変な癖があるアンプを測定してみると、大抵容量負荷に弱いです。ケーブルとの相性なども、容量負荷の安定性に関係してくるようです。特定の容量で発振する事があるので、幅広い容量でテストしてみる事が必要です。今回は0.001uFから2.2uFまでをテストしてみました。測定信号は10KHzの方形波で、負荷の8オームに並列に容量を入れた場合と、容量のみを負荷にした場合を測定してみました。リンキングは良いですが、発振してしまうとNGです。

御覧のように2.2uFを並列に8オームにしても、リンキングが発生するだけで発振する事はありません。次は、容量のみを負荷とした場合です。これは、アンプにとっては過酷な条件です。

8オームと並列に接続したものと比べても、わずかにリンキングの振幅が大きくなっているだけで、大変安定しています。これで、一安心です。
 次は、周波数を変えた方形波を入力し、波形がどうなるか見てみます。

周波数は10Hzから100KHzです。さすがに10Hzはサグが目立ちますが、超低域でのピークなどは出ていないようです。100Hzではわずかにサグが出ています。10KHzは綺麗な波形で高周波でのピークなどは出ていないようです。100KHzでは出力段の帯域を狭めたため、なまっていますが、高域は10KHzの波形は綺麗に出れば良いと思います。
 次は正弦波を使った静特性を見てみましょう。まず、入力に1Vの信号を入れてVRを最大にしてみます。


VR最大

1%歪率

VR最大では、上下がちょっとクリップするくらいです。これくらいのゲインであればちょうど良いと思います。ゲインを変えたい場合は、電圧増幅段のカレントミラーのエミッタ抵抗で設定します。
 1%の歪率のときの波形を見てみます、このときの電圧がこのアンプの最大出力です。1%歪の時の出力電圧は8オーム負荷で16.25Vです。最大出力は8オームで33Wです。
 ノイズ電圧はAカーブで重み付けしてVR最大で115マイクロV、最小で20マイクロVです。
 周波数特性は次のようになります。

周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 5K 10K 20K 50K 100K
出力電圧1V 0.998 1.002 1.003 1.002 1.003 1.003 1.003 1.002 0.992 0.948
出力電圧5V 5.02 5.05 5.05 5.05 5.06 5.06 5.06 5.02 4.84 4.40
出力電圧10V 9.85 9.96 9.98 9.99 10.01 10.01 9.98 9.84 9.10 7.77
出力電圧15V 14.57 14.88 14.97 15.02 15.03 15.03 14.93 14.54 12.69 9.32

一番帯域の狭い15V出力で、20Hzは-0.26db、100KHzで-4.1dbです。上下の帯域はDCサーボの掛け方や高域補償でどうにでも設計できます。一応、今回はこの定数で組上げてみる事にします。
 次に歪率を見てみます。まずは、入力1Vのとき、VRでゲインを変えてみたときの歪率で、測定周波数は1KHzです。
 

出力電圧(Vrms) 0.05 0.1 1 2 5 10 15 16
歪率(%) 0.069 0.055 0.050 0.049 0.046 0.047 0.28. 0.5

これは、電圧増幅段の歪率がそのまま出てきているようです。無帰還アンプとしては優秀な歪率だと思います。次は周波数対歪率です。20Hzから100KHzまで測定してみました。
周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 5K 10K 20K 50K 100K
出力電圧1V歪率(%) 0.051 0.051 0.050 0.042 0.050 0.051 0.053 0.067 0.1 0.18
出力電圧5V歪率(%) 0.076 0.096 0.050 0.046 0.047 0.058 0.083 0.13 0.30 0.46
出力電圧10V歪率(%) 0.20 0.27 0.327 0.050 0.044 0.11 0.21 0.37 0.38 0.76

出力電圧10Vで20,50,100Hzの歪率が悪くなっていますが、これは実験に使った定電圧電源の最大出力電流が2Aでリミッタがかかるためだと思います。低域ではピーク電流が検出され、電流が供給されないので、波形が歪んでしまったのではないかと思います。

次に出力抵抗とダンピングファクターを測定してみます。測定方法はON−OFF法です。

周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 5K 10K 20K 50K 100K
出力抵抗(オーム) 0.075 0.075 0.075 0.058 0.050 0.025 0.017 0.034 0.13 0.36
ダンピングファクター 106.7 106.7 106.7 137.9 160 320 470 235 61 22.2
これを見ると、低域の出力インピーダンスは一定ですが、中域から下がっていき10KHzくらいで最大になり、高域にかけて上がっています。可聴帯域ではダンピングファクターは100以上をキープしていますので、問題ないと思います。

ケース仮組み:ケースと放熱器が出来上がってきましたので、間違いが無いか仮組みしてみました。


前面

後面

上面
組上げてみると結構、大きいですね。
ケースキットにはパネルは付属していませんので、パネルを付けたい方はアクリル板など工夫して取り付けてみてください。
今回は黒のつや消しラッカースプレーで塗装しましたが、プライマリーなどの下塗り材を使わなかったので、すぐに被膜が剥がれてしまいます。
ちゃんとアルミ用の下塗り塗装をしたほうが良いと思います。
次は、きちんと組み立てた後、最終測定をして見ます。

最終回路と結線図を掲載します。
回路図PDF
結線図PDF

次に組み立て済みの基板の写真を示します。
御覧のようにキットの放熱器を購入された方は、放熱器にトランジスタを取り付けるタップが切ってありますので、3mmのビスでトランジスタを放熱器に取り付けてください。

電源やスピーカーの配線は、写真のように前もって捩っておくと良いと思います。
次に組み立てが終了した内部の写真を示します。
ケースキットを使うとこのようなコンストラクションになります。ちょっと失敗だったのは、左のアンプ基板のコンデンサと整流基板のコンデンサの位置がぎりぎりセーフだった事です。しかし、何とか収まりました。
次は完成したアンプの測定と試聴をやる事にします。

測定結果:完成したA級パワーアンプを測定してみました。
電源電圧:このアンプでは3系統の電源を使っています、それぞれの整流出力と定電圧出力を計ってみました。
設計電圧(V) マイナス電源電圧(V) プラス電源電圧(V)
出力段 ±24V -24.6 24.6
ドライバ段整流出力 ±40V -40.4 40.3
ドライバ段定電圧出力 ±31.8V -32.8 32.2
OPアンプ用整流出力 ±20V -21.3 21.2
御覧のように殆ど設計値通りの値が出ています。これは、トランスを作っていただいたフェニックスさんの技術力の高さを証明しています。
最大出力:32.64W(8Ω1%歪)
VR最大時のゲイン:24.26db
ノイズ、S/N
VR最小ノイズ電圧(AカーブμV) VR最大ノイズ電圧(AカーブμV) S/N(db)
電圧入力 35.6 109 -103.5
SATRI−LINK 36 105 -103.8
電圧入力でもSATRI−LINKでも、殆ど変わらないようです。
周波数特性
出力電圧による変化
出力電圧(V)/周波数(Hz) 20 50 100 500 1K 5K 10K 20K 50K
1 1.019 1.023 1.025 1.024 1.024 1.023 1.014 1.014 0.936
2 1.996 2.005 2.007 2.005 2.006 2.003 1.998 1.984 1.824
5 4.99 5.02 5.03 5.02 5.03 5.01 4.99 4.93 4.45
10 9.91 10.03 10.04 10.04 10.04 9.97 9.89 9.64 8.34
15 14.70 15.00 15.05 15.05 15.05 14.91 14.64 14.19 11.48

歪率
1KHz出力歪率
出力電圧(V) 0.05 0.1 0.2 0.5 1 2 5 10 11 12 13 14 15 16
歪率(%) 0.165 0.084 0.057 0.048 0.046 0.046 0.044 0.046 0.049 0.056 0.068 0.12 0.29 0.69
これを見ると、50mVの歪率が定電圧電源を使った測定結果よりも悪くなっています。ノイズ電圧を見てみると、VR最低の時のノイズ電圧が、定電圧電源を使った実験時は20μV、完成機では36μVで定電圧無しの電源の影響が出ているようです。とはいっても、スピーカーに耳を押し付けても何も聴こえない程度ですから問題ありませんが、120dbを超える高能率ホーンシステムなどを使われる場合は、出力を犠牲にして定電圧電源を入れると良いでしょう。
周波数歪率
出力電圧(V)/周波数(Hz) 20 50 100 1K 10K 20K 50K
1 0.043 0.043 0.043 0.043 0.046 0.054 0.050
2 0.043 0.042 0.042 0.042 0.049 0.065 0.067
5 0.041 0.040 0.040 0.041 0.080 0.137 0.149
10 0.039 0.037 0.036 0.043 0.234 0.401 0.338
15 0.054 0.054 0.062 0.3 1.43 0.59 0.60
これを見てみますと、定電圧電源での実験の時に問題となった大出力時での低域の歪の増加は予想したように定電圧電源の電流供給不足であったことが分かります。完成機での低域の歪は見事に低くなっています。

容量負荷安定性
今回は、立ち上がり部分をディレイ・スイープで時間軸を拡大してみました。これを見るとリンキングは出ていますが発振はしていません。8Ω+0.001μFでは全然変化が出ていないのが分かると思います。普通のスピーカーケーブルの容量は100pF/mくらいですから、10mくらいのケーブル長では容量の影響は出ないと思います。
 次は容量のみを負荷とした場合の測定です。容量のみの場合はアンプが不安定になりやすく、アンプにとっては過酷な条件です。0.001μFの場合は全然変化がありませんでしたので、省略してあります。
御覧のように、リンキングの周期が長くなるだけで発振する事はありません。非常に安定したアンプに仕上がっていると思います。

オフセット・ドリフト特性
最後にオフセット・ドリフト特性を示します。試作実験の場合は3台の安定化電源を手動で電源を入れていましたので、電源投入のタイミングが実機とは違いますので、電源投入時ポップノイズも含めて確認する必要があります。測定は実際にスピーカーを接続して測定しましたので、実際の使用状況そのものです。

電源ON/OFF

電源投入ノイズ

ドリフト
電源投入した場合、96dbのスピーカーでは全く何も聴こえません。また、電源を切った場合も同じです。実際のアンプの出力をペンレコーダで観測してみました。電源投入してから30秒間は何も出ませんが、この間はアンプの定電圧電源が立ち上がる時間です。電源が立ち上がると出力はゆっくりと上昇し、120mVくらいのDC電圧が1分位出力されます。この時間はDCサーボとバイアスサーボが立ち上がる時間です。約10分間くらいで安定し、その後は変化はありません。今までのアンプは温度補償をしていたので、放熱器の温度が安定するまで時間が掛かっていたのですが、バイアスサーボがかかっているこのアンプは放熱器の温度に関係なく短時間で安定します。最初の1分間の100mVのDCですが、よほど感度の高いホーンスピーカーにダイレクトに接続する場合を除けば問題ありません。立上がり立下りも数秒かかりますので、ポップノイズが出ることはありません。電源OFFの場合も10mV位のノイズですので問題ありません。
市販アンプの測定

作者の試聴記
 製作者が試聴記を書くと思い入れが強くなりがちですが、私もプロと言う事で出来るだけ客観的に書いてみます。
 第一の印象は非常に滑らかで密度が高い音だということです。これは、AMP−5511MK2をはるかに凌いでいます。5511MK2はリアルさを強調するようなところがありましたが、このアンプは自然である事が当たり前のような音の出し方をします。ですから、何を聴いても破綻がありません。例えれば4X5の大判写真のようにどこまで拡大していっても細かいところが見えるという感じです。ブレードランナーで主人公がレプリカントが宿泊していた部屋から持ってきた写真をコンピュータで拡大していく場面がありますが、あのような粒子が細かく情報量が多いような感じです。
 ですから実在感がすごく出てきます。このHPでも紹介しています、沖縄の音無館のCD、國仲勝男氏のベースソロを聴くとそこに演奏者が存在するような音の出方です。特に低域のドライブ能力は、今までのアンプの中では一番でしょう。
 また、5511MK2では弱いと言われていたオーケストラや弦楽器を非常に緻密にしなやかに再生します。横笛などの高調波成分を多くもった楽器も自然に再生してくれます。ボーカルは、歌手の存在感がより明確に感じられるようになりました。
 と書いていくと、やはり我田引水になりますね。そうならないように、昨夜試聴してくださった竹男さんの試聴記も載せておく事にします。

竹男さんの試聴記
さて、KIT。
> SATRI−KITで作ったA級アンプが完成しました。
> すごい音です。
仰るとおりです。5511mk2を高級化した(美しさを加えた)ような感じとでも表現しておきましょう。とても出力30wそこそこのパワーアンプの音ではありません。
帯域のどこにも強調感がなく、唸るがしなやかな低域、透明感溢れる中高域、そしてSATRIの美点である広く豊かな音場感・・・。A社のA級アンプはいらない。
しまったことをしました!製作に挑戦すべきでした。今更おそい・・・。

皆様!どなたかご都合でフルキットを手放される方がいらっしゃいましたら、当方が必ずお引き取りしますよ!!

そんな方は居ないようですから、当方以外にあと9名、改めてキット希望者を募ります。10名集まれば、再発
していただけますです!!
 
製作例3.沖縄の野津さんの製作記

永井さんこんにちは、野津です。
Aクラスアンプの拙い写真を送ります。
制作例に載せてやってください。
satri-inputには1kΩの抵抗が入れてあり、ここに1Vrmsの信号を入力して測定しました。
それから出力段だけの特性を見るために、TP8に3Vrmsの信号を入力して測定しました。
いずれも上が入力、下が出力です。
よろしくお願いします。

10Hz電流入力

10Hz出力段

100Hz電流入力

100Hz出力段

1KHz電流入力

1KHz出力段

10KHz電流入力

10KHz出力段

100KHz電流入力

100KHz出力段

メイン基板回路図(PDF)
電源基板回路図(PDF)

製作例4 古郡さんの製作記

1.キット購入のきっかけ 

キットが販売されるずっと前からSATRIを愛用していました。
今までは真空管アンプしか使っておらず、アンプは増える一方でした。
そこで、入力機器と出力機器の繋ぎ替え様にプリを自作したところからSATRIとのお付き合いが始まりました。
SATRIキットが発表になる前からネット上ではDAC基板キット配布が盛り上がっており、私もブームに乗って基板を買いました。基板を買ったまでは良かったのですが、なかなかやる気が起きずそのままにしていました。
時を同じくして、SATRIキット化の構想が持ち上がりついでに購入という軽いのりで購入しました。

2.製作の意思固まる

基板を購入ましたが、予想通りにその他のDAC基板などと棚の中に一緒にしまっていました。
いろいろな構想はあったのですが、永井さんの33wA級動作アンプの回路図と試作品が発表され、放熱器、ケース、トランス、基板に実装するすべての部品もキットとして販売されることになりました。
部品キットはいずれにしても、放熱器だけはこの際に買わないと買えなくなってしまうと思い、部品キット、放熱器を買い後で作ろうとまたしても押入れの肥しになってしまったのです。
少したつと皆さんの作品がちらほらと出来あがってきて私の心も動かされ始めてきました。
良く考えてみるとすでに7万円くらいの投資(基板、放熱器、部品キットなど)がしてあって、このまま押し入れの肥しにしてしまうのには高価であるということで、年末の休みを利用して製作することとなりました。

3.筐体、電源回路を考える

さて、製作に取りかかる前に必要なものを集めなければなりません。
筐体 SATRIプリがラックケース型なのでおそろいのデザインとする。
電源 トランスは特注Rコア。初段、OPアンプ段の±15Vは三端子レギュレーターにより得る。ドライブ段の±25Vは窪田式FET電源を利用して可変とする。出力段の平滑用には折角のSATRIアンプなのでOSコンを使う。
VR とりあえず汎用品を利用して将来的にプリに付いているアッテネーターを移植する。
その他 OPアンプはソケット式、SATRI−ICもソケット式、DC電源ラインはすべてコネクターで接続する。    
こんな感じになりました。

4.部品の調達

問題の部品の調達ですが、SATRI−ICはプリからの流用とします。4.3T+5.1Tです。
筐体は近くの部品屋からタカチのケースを注文しました。
OSコン(16V1000μF×54個)は在京の友人に帰郷の際のお土産として買ってきてもらうとして(友人もあまりの個数と金額に、お店から確認の電話を入れてきました)、その他の部品はすべて通信販売で入手することにしました。
合計5社から7万円程度の部品を購入しました。もちろんOSコンも込みの値段です。

5.デザイン
  
放熱器の高さが150mm、筐体の側板の高さが170mmということで、放熱器の上下に10mm角のアングルをネジ止めしてはめ込むこととして加工を最小限に抑えました。
問題の幅ですが、そのままの位置に放熱器を取りつけるとフロントパネルから飛び出して見えてしまいます。そこで、幅を30mm程度縮めてフロントパネルと放熱器がツライチになるように切り詰めました。
フロントパネルにはネオンランプ、スイッチ、VRツマミ、セレクターツマミ、1系統の入力端子。
リアパネルにはACインレット、ヒューズソケット、5系統の入力端子、出力端子、放熱用の穴。
天板は既存の放熱孔のほかに新たに穴をあけて、パンチングメタルの板で異物の侵入を防止しする。
底板には既存の4本足から3本足に変更するために新たに穴を追加する。
デザインはこの様になりました。図面はCADにて作成、パネルに貼り付けて加工しました。


6.製作開始

年末年始に製作する予定で筐体の加工などは終わっていましたが、実際の製作開始は1月の中旬になりました。基板への部品の取り付けは2枚で半日程度で終わりました。
基板は33Wアンプ製作例をそのまま模して作りました。
DCサーボ用OPアンプにはIC自体のオフセット調整回路も追加しました。
製作後に安定動作していることを確認してから改造(改悪)する事を念頭においてありますので、配線類はコネクターによる接続としました。
出力段のOSコン(13列×4列)と初段、OPアンプ段の基板はスペース上の制約で2階建てとしました。高さは充分ですのでレイアウト上は問題無かったのですが、基板を固定するネジ(70mm程度必要)が無く当初は全ネジを切断して固定しようとも考えましたが、結局は短いネジを組み合わせて上下から固定することで解決しました。
入力切替は6系統(前面1、背面5)の欲張り仕様ですが、前面の入力を犠牲?にしてセレクター自体を背面の入力端子に近くに配置しました。

ケースの加工中

放熱器の取り付け

裏パネルの加工

正面パネル

電源の組み込み

基板の取り付け

配線作業1

配線作業2

配線作業完了

7.仕上げ
残すところは天板の塗装ですが、黒の艶アリ塗料を使いました。
通常のスプレー缶を一本丸ごと使っての厚塗り塗装ですが、完全に乾燥した後表面を研磨してピアノに負けないくらいの光沢を出す予定です。リビングで使用することを前提としていますので、工業製品であると同時に芸術品であることが求められる趣味の世界ですのでしっかりした物を作りたいと考えています。

キットといっても完全な形に近いキットだったこともあって悩むことなく製作することが出来ました。製作レベルとしては、過去にキット製のアンプなどを作ったことがある人ならたいていは悩まずに出来そうな感じがしました。

8.調整 その他
 
調整はマニュアル通りに行いました。出力段のバイアスは1.6Aです。
初段、OPアンプ段 +15.8 -15.7
ドライブ段 +25 -25
出力段 +24.8 -24.8
この様な電圧で動いています。
DCサーボも掛かっていますし、IC自体のオフセット調整回路もついていますのでDC出力は0Vです。

動作確認は手元に発振器が無いのでCDプレーヤーを使い波形CDを再生しました。
簡易的は確認ですので後日発振器を使ってより正確に観測したいと思っています。
簡易的に見た限りでは時に異常なく動作しています。
電源投入後、20秒程度で音が出ます。歪み感が無くなるまではおよそ2分。
   
基板への部品取り付けからおよそ2週間で完成に至りました。
実働日数(8時間/1日)に換算すると3日位でしょうか。
完成後、10時間程度のヒートランテストを行なった後にメインスピーカーに接続しました。
6時間程度使っても驚くほどの温度上昇(放熱器に触れられる程度。ただし、ずっと触っていることは出来ない)は見られず(室温20程度)真夏のエアコン無しの環境でも使用に耐えられそうな感じでした。

電源のチェック

調整作業


9.現在の構成
筐体も結構大きいので、ラックの外に置いておけず、真空管アンプを一台どかしてラックに収めました。
現在は暫定的にSATRIプリを通して繋がっていますので音量調整はプリにておこなっています。
プリには現在V4.1が付いています。接続はSATRIリンクと思いきや電圧伝送です。

システム構成

完成
システム構成は上から、A級アンプ、DAC、SATRIプリ、PCMチューナー、一番下がWE91型アンプです。

10.試聴して

まだまだエージングが必要ですが、第一印象は低音の量感が素晴らしいことでした。
これからエージングが進むにつれてどんな音に変化して行くのか非常に楽しみです。